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きれいになれる Essay 集
 
「美のしらべ」
  『心を贈る女性たちの輝き』毎日新聞 2000.02.09
     バレンタインデーにはチョコレート、などと言っていたのは一昔前のことである。最近では、後々まで残るものがプレゼントとして選ばれる傾向にあるらしい。今や、バレンタインデーは、お誕生日やクリスマスに次ぐ最大の贈り物イベントの一つとなっている。しかも、日本では「女性から男性へプレゼントする日」、そして、「愛を告白しても良い日」ということになっているので、この季節になると、女性はうきうきと心を弾ませる。好きな人に贈り物をするという行為には、相手に喜んでもらったときの満足以前に、その贈り物を選ぶ楽しみがある。

 バレンタインのプレゼントとして人気が高いのは革小物だそうである。働く男性にとって、お財布や定期入れ、ベルトなどはいわば消耗品。いくつあっても邪魔にならないというわけである。好きな女性からもらったものであれば、常に身に付けるのもまた嬉しいのだとか。

 ネクタイは、成功すればかなり喜ばれる贈り物になる。男性にとって、「毎日替えたいものだからこそヴァリエーションが欲しい」という、革小物とは別の意味で消耗品であると同時に、贈り主のセンスがストレートに伝わるものだからである。しかし、裏を返せば、そのセンスが男性の好みと合わない可能性を秘めている。男性によっては、CD が嬉しい人もいれば、カー用品が一番という人もいるだろう。プレゼント選びには、相手との距離感が重要な鍵を握る。

 プレゼントは、「心」を物に託して贈るものだから、相手の受け皿にちょうどいいくらいのメッセージを選ぶバランス感覚が大事である。相手の好みや気持ちを尊重してこそ、プレゼントが生きるし、贈り主の心が伝わるだろう。相手の顔を思い浮かべながら、男性へのプレゼントを選んでいる女性は、輝いて見える。相手を大切に思う気持ちが彼女たちの瞳に光を与え、笑顔を創りだしているのだろう。

 今年も、各デパートが競争でバレンタイン・フェアを展開している。ディスプレイに工夫を凝らした特設会場には、定番商品から意表をつくアイデア商品までさまざまなプレゼント候補が並んでいる。まさに、男女の距離感にあらゆる可能性を想定したかのようなラインナップ。まるで時代の鏡に映し出されたさまざまな愛の形を見るようだ。しかし、贈り主である女性の「心」だけは、いつの時代も変わらず輝いているのではないだろうか。

(荒木 りえ)


 

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