「美のしらべ」(毎日新聞00.07.05)
『ファッションを輝かせる帽子』
陽射しの強い季節になると、帽子売り場が華やかになる。この夏は、流行しているということで、いつにも増してヴァラエティ豊かだ。ふと見渡すと、街中でも、帽子をかぶっている人は意外に多い。しかし、帽子をかぶることで魅力が引き出されている人は少数派である。単なる日よけだけでなくファッションになるポイントは、どこにあるのだろう。
帽子はまるで、帽子がかぶる人を選ぶかのように、わがままで贅沢で自己主張が強い。それだけに使いこなせれば、私たちをまぶしいほどに輝かせてくれる。ドレスや宝石と同じく、敬意をはらって身に着けることで、美しさを引き出してくれる力強い味方なのだ。
かちっとした素材の上品な白い帽子には、さらりとしたコットンツィードのパステルスーツを合わせたい。やわらかな生成りのチューリップ帽やナチュラルな麦わら帽には、シャツカラーの麻のワンピースやチノクロスのパンツ、足元に帽子と同じ程度のインパクトのあるサンダルにすると冴えてくる。服装とのコーディネイトは帽子を中心に考えるというのが、帽子をファッションに取り入れるための心得の一つである。
次はヘアスタイルである。前髪がある場合は、あまり深いものをかぶると髪が押さえられてうっとうしくなりやすい。だから、少し浅めのものや、つばの部分がフェイスラインから離れたデザインのものがきれいである。また、キャップは、思い切って前髪を帽子の中に入れてしまった方がすっきりする。ロングヘアは、サイド(前から見たときに帽子から出る部分)の処理によって、垢抜けたイメージを創ることができる。耳にかけて後ろに流したり、きっちり編んでアクセントにしたり、顔にかからないようにするのがコツである。
そして最後に、忘れてはならないのは「メイク」である。帽子を生かすために最も気を配りたいのは、アイメイク。帽子で陰になる分、目に力を与えることで全身にインパクトのある美しさを創出できるからだ。パール感のあるアイカラーで軽いまぶたをつくり、アイラインとマスカラで目の存在を強調する。目の下にハイライトを入れるのも効果的である。帽子に負けない明るい表情を作ることができれば、大成功。
ブルーの帽子はブルーの色が、ピンクの帽子はピンクの色が、顔に映る。肌の色や口紅の色を計算できるようになればこっちのものである。帽子の力を借りて自分をより美しく輝かせるには、心構えが必要なのだ。
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