「美を奏でるもの」-4
他人の「美」を引きだすことはひときわむずかしい。その人の美の要素を的確に見つけ出してそれを輝かせる作業は、テクニックだけでは完成しない。
私は、スタッフを務めるインターネットのサイト主催のイベントなどで、「メイクアドヴァイス」を行うことがある。そこには、きれいになりたい女性たちが、いろんな悩みを抱えてやってくる。眉がうまく描けない、似合う口紅の色がわからない、アイメイクが自然にできない。悩みの一つ一つはテクニックで解決できるように見える。しかし実は、自分を魅力的に見せるということが、どういうことなのかがわからない、というケースが多い。私はいつも、私がその人ならどんな風にメイクするだろうかと考えてバランスを見ることにしている。多くの場合、磨けば輝く石を持っているのにそれに気づいていないだけなのだ。少なくとも、その石がどこにあるのかを教えてあげることができれば、アドヴァイスは大成功である。優秀なメイクアップ・アーティストやヘアデザイナーは、美しくなりたい人の可能性を見つけだし、意外な方向へ少しだけ冒険させてくれる。テクニックと同様に、見る目を養うことは大切であり、それが「美のハーモニー」を創りだす鍵となる。
多様な美が存在することは確実だが、その一方で、他人と違いさえすればそれで良いというわけではないのも事実である。あくまでも、魅力を引きだして表現することができてこそ、美しさに多様性が生まれてくる。
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